将来のリフォームに備えて新築時に気をつけたいポイントとは
長期間くらす住宅では、将来的にリフォームが必要になるケースもあるでしょう。そこで重要なのが、新築時にリフォームを考慮しているかどうかです。ただ、新しく家を建てるというタイミングで改築のことを考えるのは難しいかもしれません。この記事では、将来的に必要となるリフォームに備えて、新築時に気をつけるべきポイントを解説します。
リフォームを考える理由やきっかけとは
そもそも、リフォームをする人にはどのような理由やきっかけがあるのでしょうか。改築のきっかけはさまざまですが、ここでは、リフォームの理由として特に多いものを紹介します。
住宅の劣化や設備の故障
平成28年度に行われた国土交通省の調査によると、リフォームの理由として最も多いのが、住宅の劣化と設備の故障です。長年住んだ住宅の汚れやいたみ、台所や浴室、給湯器の故障といったものがリフォームのきっかけとなる人が、全体の7割を占めます。特に給湯器やトイレの故障は生活に直結するので、修理できなければ改築せざるをえない場合があります。
生活環境の変化
リフォームの理由として良く挙げられるものとして、住宅を建てた当初からの生活環境の変化があります。子どもが生まれたから子ども部屋が必要になった、年齢や病気、怪我などによってバリアフリーにしたいなど、ライフスタイルの変化によって、改築を行うことが多いです。バリアフリーへの改築は国や自治体から補助金がでる場合があるため、リフォームを決断しやすいといえます。
デザインへの不満や住宅のグレードアップ
ここまで紹介したような、必要に迫られてリフォームをしたというケースとは違った理由もあります。いまあるものよりも良いキッチンが欲しい、もっとおしゃれなデザインの家に住みたいといった、現状の不満からリフォームを行う人もいます。住宅を設計したときには資金面から断念したこだわりを、資金的に充実したときに実現するというケースもあります。
リフォームは新築のときからすでに始まっている?
家を建てる時からリフォームを考慮するというと、不思議に思うかもしれません。実は、新築時にリフォームのことを考えてるかどうかは、いざ改築をするというときに大きな違いがでるのです。その理由について解説します。
数十年経てば生活も変わる
家は、数十年という長い時間を過ごすものです。長い時間が経てば生活環境も変わります。子どもが生まれたら子ども部屋が必要になりますし、その子どもが独立すれば空いた子ども部屋を別の用途で使うことになります。また、その家に住んでる間に住人が高齢になるのであれば、バリアフリーを視野に入れる必要があります。このように、家を建てるときには長期的な視点で考えることが重要です。
設計によってはリフォームが難しい場合も
家屋には、取り除いても問題ない壁とそうでない壁があります。なので、リフォームをするとなったときに、デザインが制限されることになります。また、通常であれば少しのコストで可能なリフォームでも、その家の設計によっては、大規模な工事が必要な場合があります。住宅の設計をするときに改築を考慮しているかどうかは、後に大きな違いとなるのです。
どんなリフォームを想定すべきか
家を建てるときには、リフォームを視野に入れた設計が重要になります。では、設計時にはどのような改築を想定するべきなのでしょうか。改築の想定には、家族構成や将来への展望など、さまざまな要素が関係します。ここでは、特に大きな工事が必要になりやすいケースについて解説します。
エレベータの取り付け
将来的に歩行が困難になる場合、エレベータや昇降機の設置を考えておく必要があります。そうした設備を一から設置するとなると、大規模な工事を行うことになるほか、設置許可の申請も面倒になります。あらかじめエレベータが入るスペースを確保しておき、設置が必要になるまでは物置として利用しましょう。
バリアフリーへのリフォーム
居住者が高齢になると、手すりの取り付けや間取りが問題となります。実は、壁の構造によっては、手すりを取り付けるコストが大きくなってしまうことがあります。手すりが必要になると想定される場所の壁には、新築時に下地を入れておくと、設置コストを押さえることができます。
また、介助が必要になることが想定されるのであれば、あらかじめ廊下の幅を広くしておく、寝室の近くにトイレを配置するなど、介護がしやすい間取りを考えておくと良いでしょう。
趣味をたのしみやすい住宅へのリフォーム
子どもが独立して不要になった子ども部屋をリフォームして、趣味のためのスペースにしたいというリフォームは多いです。そのときに壁を取り除くことがありますが、住宅の設計上、取り除くことが難しい壁があります。将来、そのようなリフォームを行いたいのであれば、新築時に柱の支え方や壁の材質などを考慮する必要があります。
まとめ
長い時間を過ごす住宅では、設備の故障や生活環境の変化など、どこかのタイミングでリフォームが必要になる場合があります。そのため、設計時から将来的なリフォームを想定することが重要です。特に高齢になってからのバリアフリーのような改築は、住宅の設計によってコストが大きく変わります。新築時には、いつか必要になるリフォームをはじめとした将来に備えた設計をすることが望ましいのです。